私は1歳からアトピーを発症してこの記事を書いている現在34歳なので、アトピー歴約33年です。
アトピーの症状がかなりひどくなるタイミングというのは節目として、振り返ると何度かあります。
中でも、最もアトピー症状がひどかったのが私の場合は大学を卒業して新卒1年目で最初に就職した不動産仲介会社の営業マン時代です。
やはり環境の変化によるアトピーの悪化というのはありますね。
これまで体験したことが無いようなストレスとアトピーの症状が連動する苦悩の毎日
新卒で、こないだまで大学生だった男の子が、3ヶ月後には目標数字を持って、家を売らないといけないわけです。
もちろん自分で選択した進路ですが、予想よりもハードルは高かったです。
私は大学在学中に宅建の試験に合格してましたので、宅建主任者として不動産売買仲介の部門に配属されました。
みなさん不動産の営業というと、イメージがあると思いますが個人相手の「ド営業」です。
うまく話をまとめて、信頼を勝ち取って物件の契約までこぎつけなければいけません。
私は要領の良いタイプの人間ではありませんので、コツをつかめないまま経過していきました。
その会社の社長は訪問販売出身の超営業マンスタイルの社長です。
とにかく売れ、売ってこいというプレッシャーが毎日半端ないわけです。
新卒同士で比較され続ける毎日
新卒でその会社に私を含めて6人、入社しました。
会社として新卒採用を開始したはじめての年だったこともあってか、とにかく他の新卒メンバーと比較されまくります。
その当時はパワハラなんていう言葉も一般的ではなく、人格否定も当たり前みたいな感じでいろいろ言われます。
先輩社員からは「お前が一番できない人間だ」と明言されたり、私の直属の上司は部長だったので、部長からは容赦なく詰められまくる毎日が続きます。
そうなると、アトピーはどんどんひどくなってくるんですよね。。。
毎日朝から晩まで怒られて、要領をつかめないまま時間が経過して家に帰宅。
帰宅すると、身体がかゆすぎて、他のことが一切考えられない状態のまま、掻いて掻いて掻きむしっていました。
帰宅してからほぼ毎日、ずっと2-3時間くらいは掻いていたかもしれません。
それまでは部分的だったアトピーも全身になっていて、ひどくなればなるほどかゆみも増していきます。
会社では怒られ、バカにされ、家では掻きむしり、かゆすぎて思考停止。
寝ていた布団は血だらけになっていました。
その頃はどんなことを考えていたかも思い出せない
相当つらかったと思いますが、その頃はどんなことを考えて暮らしていたかも覚えていません。
ただ、覚えているのはその当時「人生は積木崩しだ」とよく思っていました。
せっかく耐えて少し肌の調子が良くなっても、会社で叱責されて激しいストレスで家に帰って掻きむしる。結果また元通り。
何度積み木を積み上げても、すぐにストレスとかゆみで掻いて元通り、みたいな感じです。
そんな積木崩しの生活が数ヶ月続いたと思います。
アトピーを診てもらっている先生にも「会社を辞めたら?」みたいなことを言われていたような気がします。
生きているのがやっとで、目の前のストレス・仕事・かゆみとその場その場で、至近距離で向き合い続けることで時間は経過して、中長期的な視点なんて全く持てていなかったと思います。
そんな生活が、どこかのタイミングから、すこーしづつ環境が好転していきました。
先輩社員からのイジりにはネタとして対応
亀のように仕事を覚えるのが遅かった私ですが、時間が経過すれば少しづつできることも増えてくるものです。
不動産営業とは言っても実践する内容は、変わりませんからね。
少しづつ、不動産を売るための営業もコツを掴めてきて、先輩社員とも変わらないくらいに契約を取れるようになってきました。
そうすると、余裕も少し出てきて先輩社員からのイジりにもネタとして笑いを誘うような対応ができるようになりました。
そんな中でおもしろいやつだと認識されて、よくかわいがってもらって飲みにも連れて行ってもらったり、コンパにも誘ってもらったりしながらそれなりに楽しくもなってきたのです。
その当時はアトピー治療のための漢方薬を会社で毎日飲んでいたのですが、漢方薬すらネタにして笑いを誘っていました。
即決型の営業ではなく、じわじわと信頼を獲得するスタイルの営業に
その当時、不動産営業というのは即決型で物件の内覧時にたたみかけるように営業をして、申込みをもらうのが一般的でした。
私はどうも、そのスタイルが苦手というか、元来の人の良さが出てしまうのか、押し切る感じが向いていなかったのです。
それなら、一度物件の内覧などで会った人には、その後もコンスタントに連絡を取って徐々に信頼を勝ち取って、最終的に契約を貰えるようなスタイルに切り替えていったのが、効果を出せるポイントになりました。
さらに、電話での営業はある程度コツを掴めたようで、物件案内数は会社でも1位になったのです。
止まない雨は無い、人生には耐え忍ぶだけの時期があっても良い
アトピーがひどいなか、仕事も両立するとなるとかゆみで思考停止してしまって掻いているだけで仕事以外の時間が経過してしまう、本当につらいつらい時期が来ることもありえます。
そんな渦中にいる中で長期的な視点に立つのは、実体験から考えても難しいと思います。
本当に目の前の1メートル先くらいのことしか見えないままです。
それでも、止まない雨は無いとその当時から10年以上経過して実感しています。
とにかく耐える、耐えるだけでも良いと考えて、耐えて耐え続けていく時期があっても良いのでは無いかと思います。
耐えて耐えて耐え続ければ、その先に見えてくるものがあります。
耐えれば、少なからず自分や周囲のパターンが見えてきます。
見えてきたパターンを観察して、少しづつ改善していけばなんとかなる、そういうイメージです。
特にアトピーは顔や手など、見える部分に傷ができると外出する気もなくなってきますし、人に会いたくなくなくなったり、恋愛をする勇気がわきにくかったりということもあります。
少々話が逸れましたが、「アトピーが大変すぎて考えられない時期は、耐えるだけの生活になっても良い」というのが結論となります。
今考えれば、あんなに辛い地獄のような経験は、アトピーじゃないと体験できないようなことだと思います。健康でとくに持病の無い人には決してわかりえない体験です。
そんなつらい経験があったからこそ、今の自信につながっていると、ときが経ってから答え合わせができるタイミングは必ず訪れます。
この記事が新たに社会人になるアトピー持ちの方の参考になれば嬉しいです。
では。